アクタージュ scene44『僕の言葉で』ネタバレ
前回のあらすじ
ついに出番がやってきたアキラ。
七生と共に舞台の上に立ち、正しい感情を正しく表現する「正しい演技」をしようとする。
しかし客席が気になり役に入れず形だけの芝居になってしまう。
これではいけないと思ったが、巌の公演は数十日に及ぶ、進化する芝居こそ演劇だという言葉を思い出し、舞台は今日だけではないのだから今日はこのままやり過ごそうとしてしまう。
しかしそんなアキラに、夜凪は台本にない台詞を投げかけてきたのだった。
前回の詳細はこちらの記事をどうぞ

今週のネタバレ
引用:週刊少年ジャンプ53号
◆カムパネルラの問いかけ
急に台本にない台詞でアキラに席に着くように言う夜凪。
楽屋の亀太郎たちは驚きますが、阿良也と七生はすぐに夜凪のアドリブに対応してアキラに話しかけます。
舞台の上、アキラだけが夜凪のアドリブについていけないままです。
それでも、夜凪たちの言う通りに席に着きました。
公演本番での即興劇。
これまで台本の中に書かれてある事を「正しく」演じてきたアキラは、決まった台詞がない事に恐怖を感じます。
そして何とか台詞を台本に戻そうと、アキラは夜凪のアドリブに台本の台詞で答えました。
しかしそのアキラの台詞に、夜凪は再びアドリブで返します。
台本にはない、今はどういう気持ちがという夜凪からの問いかけ。
自分たちが助かる為に他の者たちを押しのけていれば今あなた達はここに居ずに済んだかもしれない。残された家族も悲しい想いをしないで済んだかもしれない。
それでも自分は「正しかった」と思いますか?
それは、ザネリを助ける為に命を落とした、でもその自己犠牲は「本当にいいこと」だから、残された家族や友人達が自分を許してくれると信じるしかないカムパネルラとしての問い。
そしてこんな風に隠していても、団員の皆が許してくれると信じるしかなかった巌に対しての問い。
同じ自己犠牲で亡くなった家庭教師役のアキラに、夜凪は「僕達」は本当に「正しかった」のか?と悲痛な表情で尋ねます。
引用:週刊少年ジャンプ53号
◆正しい答え
その問いを口にする夜凪に、アキラはカムパネルラの苦悩を悟ります。
これまでずっと「正しい答え」を探していた。
明確で誰からも非難されない「正しい答え」があるはずだと信じて、それを探すことを努力というのだとすら思っていた。
彼女は……いや、「彼」は、「正しい答え」がこの世にはないから苦しんでいるというのに……
そう考え、これまで大事に思っていた「正しい答え」も「どうするべき」であるかも捨て、彼には「僕の言葉」で答えないとダメだとアキラは席を立ちます。

引用:週刊少年ジャンプ53号
そして、何かを言いかけましたがそれを止め、静かに歩き出しました。
自分は本当に不器用で、どうしても客席が目に入ってきて……
本当に頭が悪くて、だからどうしてそんなことをしたのかわからない。
そう思いながら、席に着いている3人から少し離れた所まで来ると、客席に背を向け立ったのでした。

引用:週刊少年ジャンプ53号
そんなアキラを見て、アリサは俳優が客席に背中を向けるなんてみっともないと不快感を示します。
◆ダセェ役者
客席に背を向けたまま、アキラは語り出します。
僕は何も分からないんだ。何が正しいのか何が間違っているのかそういう事が本当に何もわからない。
そう言った後、本来の台本の台詞に繋げ、芝居は本来のものに戻りました。
けれどアキラの芝居は初めのものとは違い発声も発音もデタラメなもので、いつものアキラの芝居を知っている人たちは面食らっています。
その中でただひとり、亀太郎はかつて巌が自分に語っていた事を思い出していました。
アキラが今回の芝居に参加する段になり、巌は亀太郎にお前の他にダセェ役者がもう一人欲しかったんだと言います。
そんな巌に亀太郎は、星アキラは主役しかやらない青春キラキライケメン野郎だろと反発しますが、巌は口元を弛め、あいつはガキの頃のお前に似てると語ります。
他人を慮るばかりで本当の自分に目を向けてこなかった。だから手前の本当の美しさに気付いてないんだ、と。
そして背を向けるアキラをみっともないと思っていたアリサは、徐々にこれも巌の演出なのか?と疑問を持ち始めました。
舞台の上、アキラが台詞を言えば言う程、観客の視線は語り続けるアキラにではなくそれを聞いている夜凪達へと向かっていたのです。
まるで闇と光のように。
引用:週刊少年ジャンプ53号
病院で病床に着く巌は、アリサにお前はお前が思っている以上に立派な役者を育てたと語り掛けます。
そしてアキラにも語り掛けます。
教えてやろう、お前の母親に
色んな喜びも悲しみもすべてを武器に出来るのが役者なのだと
お前の孤独はお前を育てた
影から他人を輝かせる美しいわき役に……と。
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今週の感想
決められた、その場に相応しい「正しい演技」しか出来なかったアキラが、とうとうそれを崩し生の演技をし始めました。
しかしここの持ってくるまでの流れが見事です。
アキラの凝り固まった殻を破るのなんて普通なら出来ないでしょうに、巌さんの本当の幸まで乗っけたカムパネルラの苦しみの問いをぶつけて壊すなんて……
今回の題材の銀河鉄道の夜は、ここまでの展開を考えて選ばれたのでしょうか?それとも後付けか?
どちらにせよ、夜凪への死にゆく者に至るまでの教えから天球を導く事、そしてこのアキラの脇役としての美しさを引き出すまで、銀河鉄道の夜という題材を余すところなく使い切っています。
それに台詞の吹き出しの使い方も……舞台上でも、アキラ自身の言葉と家庭教師としての言葉で吹き出しが違う為、よりアキラ自身の言葉が読んでいる側に伝わってきます。
ともかく、アキラがあのまま明日でいいやの逃げた芝居で終わらなくてよかった……
来週はアキラと七生の出番も終わり、カムパネルラと銀河鉄道が死者の列車だとわかりだすジョバンニの、終盤のやり取りになると思いますが、ぜひアリサにはアキラの演技に肯定的な事を一言でいいから呟いて欲しいと思います。