2018年12月19日発売 花とゆめ2号
それでも世界は美しい第122話 人間
Contents
【それでも世界は美しい・前話のあらすじ】
神殿の装置の発動により、地下に閉じ込められたリビとウルスラとネロ。迫り来る地下水から逃げ、ようやく出口に辿り着くも、リビの足元が崩れてしまい…。
前回の詳細はこちらの記事をどうぞ

【それでも世界は美しい第122話ネタバレ】
ーーーずっと考えていたことがある。あの時、私はネロに救われなかったら、心が死んだままだったら、苦しまずに済んだのだろうかとーーー
「太陽王…っ」
地下水の波にのまれるリビ。
ウルスラも波を浴びるが、不思議と濡れていません。
(体のまわりに何か膜みたいな)
もしかしてと、地下水に腕をつけると濡れもせず、冷たさも感じません。
(太陽王、あんな所に。気を失ってる。かろうじてひっかかっているけど、この氷水の中で長くはもたない。もう私ひとりでネロを運べる。太陽王を助ける理由はない)
(何もしなくていい。そのまま背を向けてここを去るだけ。もう一度、私の全てを黒く塗りつぶせ)
(どうして太陽王は私にこれをよこしたのかしら。どうして今、私をまっすぐ見る瞳を思い出すんだろう。あの瞳を思い出す時だけ胸がすくのは)
「ネロ。ごめんね。もう少しだけ待ってて」
【ウルスラは氷伝いにリビの元へ行きます。】
(何をしているのかしら、こんなに必死になって、ネロを置いてまで、何故私は太陽王の元へ行くの?助ける理由なんてないわ。あれは敵、皆を殺したかたき。)
(だけど、気付いたことがある。あの瞳、あれはもうかつての太陽王のものじゃない。あわれみと悔恨を抱いた人間の瞳だった。)
(太陽王が私を”人間”として見ていた。そんなことで救われたりはしない。でも、この瞳を見捨てたら、今度こそ私は”人間”でなくなってしまう)
引用:花とゆめ2号
(色んな感情が渦を巻いて胸が壊れそう。価値なんてなくっていい。冷酷にも悪者にもなれない、死にかけている敵すら殺せない、半端で揺らぎやすいただの弱い人間、それが私だ。)
(父さま、母さま、リーリャ、オリーヴァ、アーウラ、ごめんなさい。でも私は人間でいたい)
泣き崩れるウルスラ。目を覚ましたリビ。
「ウルスラ!」
ウルスラとリビの立っていた氷が砕けてしまいます。
(あなたたちの為に堕ちることのできない私を許して)
引用:花とゆめ2号
【落ちかけた二人を救ったのはネロでした。】
「ネロ、どうして俺まで…俺まで助けたんだ、必要ないだろ、もう」
「さっき驚いた。ウルスラ様がお前を助けに行く時、俺を助けた時と同じ顔をしていた。
あの時の姫が戻ってきた気がした。
その姫が助けようとした人間なら助けようと思った。あの瞳にもう一度、会いたかった」
「嬉しいよ、ウルスラ様」
「ウ、ウルスラ、お前も助けてくれて…」
「何も言わないで。今は何も言わないで。私だってなんでこんなことしたかわからないのよ。でもきっと救いたかったのはアンタじゃないわ」
(なんだろう。長い間、思い出すこともなかったあの風景が蘇ってきた)
幼いウルスラと少し困ったように笑うネロ。
引用:花とゆめ2号
(声がする。「心が死んだままの方がよかった?」
いいえ。
いいえ。
だって今あなたを思い出せた。
私の一番美しい世界。私の真心。)
一方のニケ。長い洞窟をリュカの案内で出口まで来ました。
「ここは…もしかして」
「氷の王国の”聖域”でしょ。ここが有名な」
そこは車の跡で荒れ果てていて面影もありませんでした。
「聖域なんて言うんだ。こんなことになって皆悲しかったろうな。ウルスラも…」
「知らないよそんなこと。それより先を急ぎたいんだけど」
「う、うん…」
リュカが一方を眺めていると仲間の狼がいました。オオーンと吠えるリュカ。
(なんて悲しい声)
たとえその姿が永遠に失われてしまっても、これからはずっと共にある。
この胸の中にずっと…
引用:花とゆめ2号
【それでも世界は美しい第122話・感想】
ウルスラのモノローグを中心に、ウルスラが憎む心から、人の心へ次第に戻っていくお話でした。
なんとか命をつないだリビ。いよいよリビとニケが出会える日も近いのでしょう。
装置をニケたちは止めることができるのか、まだまだ困難は待ち受けています。
5号(2月5日発売)に続きます。